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水源の森は、今・・・。

皆さん、こんにちは。

白鳥哲です。

 

6月1日から2日間、水源保護地域である三重県大台町の池ノ谷、父の谷トラスト地へ行ってきました(池ノ谷トラスト地は408ヘクタール、父々谷は263ヘクタール)

 

こちらは、映画『水源』の舞台となった土地で、

公益財団法人奥山保全トラストによって水源地のトラスト運動が成功し、

日本の水源地保護の象徴となるような地域です。

 

今、日本の水源の山林は林業の衰退と共に荒廃が続いていて

所有者が管理しきれず外国資本に引き渡されているケースが相次いで起きています。

水源地付近の山林の多くは所有者が分からず自治体や国も把握しきれていません。

水源地域の山の所有者の46%は所有者が不明で、表向きわかっている資料では

約1232ヘクタール《平成18年から27年まで》108件の山林が外資のものになっています。

10年前、日本の水源地の現状について考えていた時に奥山保全トラストのことを知りました。

 

奥山保全トラストは、元々「奥山」と呼ばれていた人間が立ち入ってはいけない神域の森の再生を目指す自然保護団体、日本熊森協会が母体となって出来たものでした。

現在、トラスト地は17か所、2100ヘクタールもの広大な原生林のトラスト運動に成功しています。

日本における水源地保護を牽引する存在となっています。

2013年に制作した映画『水源』の撮影以来となる6年ぶりに訪れました。

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心が清められる想いがしました。

 

 

池ノ谷トラスト地は、全国の方々からの基金によって2010年秋に購入されて保護されている地域ですが、普段は、平原で、毎年梅雨の時期になるとどこからともなく水が湧き出てきて池に変わる不思議な池です。

そして、アオガエル科の仲間で日本にしか生息していない絶滅危惧種となっている

モリアオガエルの大規模産卵場として知られています。

 

池ノ谷まで、1時間以上登り、池ノ谷の入口の橋に着いた時のことです。

橋のたもとに絶滅危惧種モリアオガエルがいたのです。

しかも、雌の周りに沢山の雄が群がって交尾の真っ最中でした。

 

 

感動しました。

 

 

命が脈々と受け継がれている・・・。

生命の力強さと美しさを感じました。

 

 

「この自然を・・・、美しいまま残したい」

 

 

そんな想いが溢れてきました。

 

 

感動に浸りながら散策続けると、池の片隅で水が滾々と湧き出てくる場所がありました。

幼いころ、川はどこから流れるのか?

その源流をいつか見てみたいと願っていたのを思い出しました。

 

 

感銘を受けました。

 

 

都会に住んでいると、「水は蛇口からでてくるもの」と勘違いしがちですが

実際は、長い年月、木々や下草、微生物、鉱物など全ての生き物たちの関わり合いの中で山で育まれてきます。

こうした川の源流を目の当たりにすると命の森に対して深い畏敬の念が溢れてきます。

そして、この森を支えている生きとし生けるものへ感謝がわいてくるのです。

多くの生命に支えられて私たち人間も生かされているのです。

人間も循環の一部なのです。

 

その後、池ノ谷の先にある国有林まで散策を続けました。

そこはがけ崩れしていて、沢山の砂利が谷間を覆っていました。

2005年の紀伊半島を襲った巨大台風の影響で山のあちこちでがけ崩れが起きて

荒れた山になったままになっています。

 

この地域に限らず、全国各地で見られるようになったがけ崩れの多くは、戦後、1950年代後半から始まった拡大造林政策で、広大な原生林(その広さは東北7県分にも及ぶ)を切り倒し、杉、ヒノキ、アカマツで植えつくし、人間が管理しきれなくなったことから始まります。

 

元々、杉は湿性地に育つ樹種であり根が浅く、谷間などに育つ植物です。また、アカマツは標高の高い山で乾燥している地域で育つ植物、そして、その中間で育つのがヒノキです。

本来生まれ育った場所が違う木々たちを一様に植えつくしてしまったことによって、日光がささず下草の生えない「緑の砂漠」状態になり、保水力の少ない崖崩れのしやすい山になったのです。

また、林業の衰退によって地主が森を維持管理できなくなってしまったことも山を荒れさせている大きな原因となっています。

 

 

まさしく、この崖崩れは、人災でもあるのです。

 

 

6年前に訪れたときよりは回復してきてはいるものの、未だに、その爪痕が残っていました。ますます、強大化し続ける自然災害を考えると日本の山の在り方は真剣に考える必要があると思いました。

 

そして、池ノ谷のトラスト地を見学後、宮川ダムまでバスで向かい

父々谷トラスト地を見学しました。

父が谷トラスト地は、吉野熊野国立公園の中にあり野生のクマも生息し、

人が入ってはいけないかつての「奥山」です。

 

このトラスト地を購入することで、奥にある国有林を開発する際に

「広葉樹を植えて天然林にしてほしい」など、

地主である奥山保全トラストが意見を言えるようになってきているということでした。

 

 

 

≪ツアー2日目≫

この日は「速水林業」という林業の世界で合理化を成功させている企業が管理する

山林を見学させていただきました。

 

日本の林業の従事者は、全盛期14万人以上いたのですが、いまでは、4万人まで減っています。

ただ、近年は若者が増えています。

しかし、全体として山を管理する人口が減っているのです。

 

その大きな理由は、生活が成り立たないということにあります。

 

例えば直径30センチ長さ四メートルにも及ぶ材木の値段。

いくらくらいだと思いますか?

 

 

なんと、一本当たり3000円~4000円程度。

 

 

わずかにその値段なのです。

60年ぐらい育てた木の値段がです。

運搬の費用や作業賃などを引くと山主に入ってくるのはわずか1000円にも満たないのです。

 

そのため、木を新たに植えることもできず

山を持ては持つほど赤字になってしまうのです。

 

その結果、山を維持管理できなくなり、固定資産税もはらえなくなり、

手放すしかなくなることが起きてしまいます。

 

そんな中、合理化に成功して、森に光を通し、下草を生えさせて、

自然林に近い形で林業を成り立たせているのが速水林業なのです。

 

速水社長のお話しをきいたのですが

その中で印象的だった言葉があります。

 

 

「一番は何もしないこと。400年スパンでみれば、森は自然に戻る」

 

 

日光の射す森にして、生き物たちの豊富な森に戻していくこと。

そして、それは下草が生えて山の保水能力が上がって豊かな水源になります。

 

自然林の森に戻すことは、豊かな水を育む森にかえ命を守ることに繋がることがよくわかりました。

 

 

では、どうやって森を守っていくのか?

 

 

水源以外の土地で生きている人たちに出来ることは、山林を持っている地主の方々の生活を支えることです。そのような考えから10年前より「神水」を始めました。

 

「神水」は黒部の水源地の方との出会いから始まりました。

水源地の方たちが水源を手放さないようにそれ以外の土地の人たちが水を買うことなどして

支えてあげることです。

本来は国や自治体がその仕事が出来れば一番なのですが様々な事情からそれが出来ないでいます。

むしろ、国は管理しきれなくなっていて民間に経営を委託していく、

国有林野経営管理法改正案が国会に提出され2020年に施行されます。

 

そして、奥山を自然の形で戻すための努力をしている市民団体を応援していくこと。

それが水源地以外の人間ができることだと考え

地球蘇生プロジェクトでは「神水」の売り上げの一部を奥山保全トラストへ寄付させて頂いてます。

 

 

是非ともご理解とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

 

 

 

 

ブログ「水源の山は今」

https://ameblo.jp/officetetsushiratori/entry-12083032495.html?frm=theme

映画『水源』https://youtu.be/6isP49cL-7o

奥山保全トラストhttp://okuyamatrust.org/

日本熊森協会http://kumamori.org/ 

速水林業http://www.re-forest.com/hayami/

 

 

 

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